はじめに
「まだ着るかもしれない」という妄想
クローゼットを開けるたび、重苦しい気分になります。
そこには、現役時代に私を支えてくれた勝負スーツたちが、ぎっしりと並んでいるからです。
退職して数ヶ月。
「冠婚葬祭で使う」「親戚の集まりがある」……。
そんな言い訳を自分にしながら、私は彼らを捨てられずにいました。
でも本当は、分かっていたんです。
スーツを捨てることは、「バリバリ働いていた自分」を捨てることのように思えて、怖かっただけなのだと。
鏡に映る「コスプレおじさん」の滑稽さ
ある日、ふと思い立って、一番高かったイタリア製のスーツを羽織ってみました。
愕然としましたね。
肩は少し落ち、顔のシワは増え、何より「目に力がなくなっている」。
仕事という看板を下ろした私が着るスーツは、まるで借り物の衣装を着たコスプレおじさんのようでした。
「ああ、もうこの服の時代は終わったんだな」
そう心から納得した瞬間、スッと胸のつかえが取れました。
45リットルのゴミ袋、5袋分の「過去」
そこからは早かったです。
徹夜仕事をした時のシワが残るシャツ
昇進祝いに奮発したネクタイ。
それらを45リットルのゴミ袋に詰め込みました。
全部で5袋。
ゴミ捨て場に持っていく時、少しだけ手が震えましたが、不思議と足取りは軽かったです。
「今までありがとう。お疲れ様」
心の中でそう呟いて、私はクローゼットに「空白」を作りました。
「空白」に入ってきたのは、新しい私だった
スーツを捨ててから、私は生まれて初めて「自分のための服」を買いに行きました。
これまでは「相手に失礼がないか」「役職にふさわしいか」で選んでいた。
でも今は、「自分が着ていて、気分がいいか」だけで選べる。
選んだのは、上質なカシミヤのニットと、シルエットの綺麗なチノパン。
スーツを着ていた頃よりも、ずっと背筋が伸びる思いです。
これこそが、本当の「ダンディズム」の始まりなのかもしれません。
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最後に:あなたも「重い鎧」を脱いでみませんか
もし、あなたのクローゼットにも「もう着ない戦友」が眠っているなら、一度袖を通してみてください。
もし違和感を感じたら、それが「新しい自分」へ進むサインです。
大丈夫。
服を捨てても、あなたが積み上げた経験は消えません。
むしろ、身軽になったあなたの方が、ずっと格好いいはずですから。